2017 Open Campus

Poster in English


2017年度 キャンパス公開のポスター

2017年度 キャンパス公開のポスター



土木学会発表資料

2016年イタリア中部で発生した地震の調査速報


2016年イタリア中部で発生した地震の調査速報(heavy)




沼田宗純の研究活動についてご紹介いたします。

防災プロセス工学の構想

私の研究の目的は,防災を通じて,大自然の摂理に沿った幸せでより善い社会の実現に貢献することである.

これを実現する手段として,「防災プロセス工学」を開拓する.
防災プロセス工学は,
①防災行動学(情報と行動,判断と行動,意思伝達とITシステム)
②災害現象進展学(時系列な展開,空間的な拡散,曖昧な数値の確定問題)
③防災評価学(被害と対応の相互作用,新技術や制度の適用を含む事前対策から事後対策の効果測定手法,国家間や時代背景を考慮した防災対策の比較評価手法)
の3点から構成される.

これにより「発災前の社会の営み」と「発災後の社会の発展」を統一的に解釈・体系化して,効果的な防災対策とは何かを社会が適切に理解し,各種防災対策を実施することで,幸せでより善い社会を実現する.また,現代の細分化され多様化した学問領域に対し,分野間または研究者間の関連や相互依存を明らかにし,また,過去の災害の経験知(国内と国外ともに)と現状や未来の防災対策と有機的に連携・連動することで,種々の価値を一元的に「収集・評価分析・活用」する仕組みを構築する.さらに,国際的な知識や価値体系を共有・進化させる基盤システムを開発し,国際的な防災対策の発展に活用する.

防災プロセス工学の必要性,重要性

現在は,防災プロセス工学が学問として確立していないために,事前対策から事後対応に至る防災対策が体系化されていない.そのために,東日本大震災を例示するまでもなく,多くの担い手は具体的に何をやったらよいのかが認識できず,意図していない多くの非効率性,無駄,重複,手戻り,優先順位や重点領域の概念の欠如など,多くの問題が生じている.
例えば,「被害」と「対応」の関係が不明であるため,種々の被害想定が発表される一方で,災害対策基本法や防災基本計画などの対応側との連携が取られていない.そのため,体系的な位置づけや理解が欠けている状況でBCPや各種マニュアルが乱立しているだけではなく,これらを作成すること自体が目的化しつつあり,真に解決すべき課題の設定と解決策の検討が十分に行われていない.また,災害情報に関しても,膨大な情報が飛び交う現代社会の中で,どのタイミングでどんな情報を誰に向けて発信すると効果的な防災対策,適切な行動,具体的な意思決定に貢献するのかが定義されておらず,情報の有効活用には至っていない.これらの例示は,防災プロセス工学が不在だったために起こった防災分野の致命的な欠陥であり,逆に防災プロセス工学の必要性がここにある.今後,約8,000兆円の負債を抱え,人材不足が明らかな我が国において,真に課題解決に貢献する防災対策を立案・実施するためにも防災プロセス工学の構築が不可欠である.

既存の制度,慣習,固定観念にとらわれず, 現状の改善ではなく, ゼロベースで災害対応を変える発想を持つ場合,災害対応プロセスの見直しが必要であるが, 現状ではこの災害対応プロセス自体が不明である.
災害対応の再構築は災害対応プロセスの見直しや大幅な修正がなければ実現できない. 情報技術の利用を考えてもプロセス化することで初めて必要な技術や新たな技術を発想できる.